2012/06/21

イギリスにコーヒーが広まらなかった理由

イギリスにコーヒーが広まらなかった理由を説明しよう。

コーヒーはまず第一に高価で、最初は悪魔の香りとさえ呼ばれていた。しかし、知識人や上流の人間達はその雰囲気と才気を養う効果を感じて好んで飲んでいた。ここで重要なのは、コーヒーハウスに出入りしていたのがほぼ全員男だった事である。男達は、仕事終わりにコーヒーハウスに寄り、一杯のコーヒーを頼み、友人達と熱く語り、語り飲み、また熱く語っていた。
 問題なのは、コーヒーハウスにいる時間は仕事をしていない事、そして家族と過ごしていないである。この事は家庭に居る妻達を怒らせた。さらに、もっとも彼女達を怒らせたのは、夜、ベッドの上で夫達が彼女達を愛してくれなかった事だと言う。コーヒーハウスで遅くまで語っていた男達は、家に帰ってすぐに静かに寝てしまった。
 怒った彼女達はこぞってコーヒー反対に立ち上がった。

こうしてイギリスにコーヒーが広まる機会は失われたのである。
嘘くさいと思うかも知れないが、コーヒー反対に立ち上がった女性達が刊行したパンフレットがあり、正式な表題は「コーヒーに反対する女性の請願。かの乾燥させ、衰弱させる飲み物の過度の使用によって彼女たちのセックスに生ずる巨大な不都合を公共の思慮に訴える」とある。
 すなわち、イギリスにコーヒーが広まらなかった理由は、事実として「家庭でのセックスの不在」である。

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